2018年12月27日木曜日
「上品な話し方」を読んだ感想
お上品な御婦人が、お上品に小言をいう本です。
「上品な話し方」から大きく脱線して、現代人の言葉遣いやマナーなどについてあれこれ言っています。
著者は冠婚葬祭入門シリーズなるもので700万部のベストセラーを出した方なので、なるほどなと思うところも多いですが、いくらお上品にいっても小言は小言なので、お上品になりきれない、苦しいところがあったりします。
「こういう人は下品です」と言ってしまうと、たしかにそれが正しいとしても、読者としてはみなまで言うなという気持ちがして、お上品の説得力が弱くなってしまう気がするのです。
これは、著者自身が下品と思われる危険を顧みずにお上品を語った、お上品の理想論と考えるのが好意的かもしれません。
本の内容には、ガラケーの扱いやファクシミリの送り方など、時代を感じさせるものがあって、それはそれで面白い小話だったりします。
話は転じますが、著者の語るお作法をどこまで真に受けるかは、個人の判断次第だと思います。
Wikipediaによると、「目上の人には履物を贈らない」というマナーを世に広めたのは、この著者の「冠婚葬祭入門」なる本に一因があるそうです。後からクレームがついて「贈ってもよい」と正反対のマナーを掲げるに至ったようですが。
最近は、「とっくりの注ぎ口を使ってお酌してはならない」という謎マナーが話題になっていましたが、出処はどうせ誰かの思いつきなのです。
マナーを語るのは結構ですが、それについて他の人を納得させられず、押し付けようとするならば、もはやそれは迷惑な言動でしょう。
マナーはこっそり学んで、こっそり実践するのが、スマートなスタイルなのかなと思いました。
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