正式タイトルは「本は10冊同時に読め! ― 本を読まない人はサルである!」
本のメッセージは、タイトルの通りだと思います。
本を読まない人はサルだ、バカにされたくなければ多読しろ、みたいな感じです。
ほぼ全編に渡って、人の劣等感を刺激するような挑発が入っています。
著者の成毛眞氏は、35歳でマイクロソフト日本法人の社長となった人物です。
その事実を知ってしまったそや氏(35)は、うだつの上がらない契約社員の自身の情況を憂い、過激な挑発を聞いてもはいそうですね、仰るとおりです、と押し黙るばかりです。
とにかくやたらと凡人の劣等感を刺激してきますが、唯一救われた点としては、40過ぎの一般サラリーマンに薦める本はあるだろうか、という節で、「そんなものはない」とばっさり切り捨てていたことが、逆に、30代の人間にはまだ微粒子レベルでも将来に可能性が残されているのかな、という気持ちにさせてくれたことくらいでしょうか。
(引用)“(40代・50代が読むべき本について)そんなものはない。もう手遅れなので、何を読んでもムダである。本人も、この先出世の見こみもないことぐらいはわかっているだろう。後は働きアリに徹するか、早期退職してソバ打ち教室に通ってソバ屋をはじめるか、選択肢はそれぐらいではないだろうか。”
その他、少し気になったところを引用します。
“アメリカ人のエリートは『金持ち父さん 貧乏父さん』を読んでいたとしても、絶対に人にはいわない。それどころか、「はあ? 何それ」という感じで知らないふりをする。その手の本を知っていること自体で、レベルが低い人間だと見なされる恐れがあるからだ。”
どうやら、ベストセラーやハウツー本は恥ずかしいから読むな、ということみたいです。
この本もハウツー本的なところがあるような気がするので、こういった箇所を読んでいると、あぁ…こんな本を読んでいる自分はダメなんだ、と思ったりもするのです。
あともうひとつ、辛いところ。
“この本を読んでいる読者は、まさかノウハウ本に線を引いたりしていないだろう。(中略)線を引くなどという愚かな行為をする人はいないと信じたい。”
そや氏は気になったところにポストイットをペタペタ貼ってしまったので、もうダメです。
語りが刺激的なので面白い本だなと思う一方で、この本を面白いとか思ってる限り凡人庶民なんだろうな、と辛くなる本でした。
この手の本は、著者の言うとおりこっそり読むのが良いんだと思います。