2018年11月27日火曜日

「本は読めないものだから心配するな」を読んだ感想


 比較文学者による詩的なエッセイ集です。
 「本は読めないものだから心配するな」という素敵なメッセージは一本目のエッセイで、この数ページを読んだだけでも著者・管啓次郎氏のファンになってしまいそうな威力があります。
 実際のところ、この本はアマゾンのレビューとか、著者のWikipediaページでも大絶賛されているので、いまさら感想を加える必要もないのですが、良い本に出会ったな、と思います。

 どこのページを開いても、ほぼ間違いなく目を引く印象的な一文が含まれています。
 ご丁寧に、各ページの隅には著者が選抜したであろう一文が抽出されて載っているので、自分の感性と著者の感性を比較するのも楽しく、こんな試みの本は他に見たことがありません。

 適当にページを開けば、寝る前にちょっと読むのに最適なエッセイにあたります。
 ただ、この本には目次がなく、本文中にはそのエッセイが誰に向けてどこで発表されたものかの記載がないので、順番に読んでいると、これは何の話だろう?と戸惑う箇所が少しありました。(突然明治大学を持ち上げはじめたな、と思ったら出典が明治大学新入生向け冊子だったりとか)

 とはいえ、そんな細かいことを横に置いておけば、この本はページをパラパラと開いて心地よいエッセイを味わうため、ずっと手元に置いておきたいと思うような本でした。

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 パパっと書いて寝ようと思ったら、ムダに時間を使ってかなり夜遅くなってしまいました。
 以下は、今の気持ちにぴったりと感じた箇所の引用です。ちょっと場違いかな…

“人々は好んで効率の悪さ、むだな努力、実利につながらない小さな消費と盛大な時間の投資をくりかえし、くりかえしつついつのまにか世界という全体を想像し、自分の生活や、社会の流れや、自然史に対する態度を、変えようと試みはじめる。”

…夜更かし生活の態度を、改めないといけません。
おわり。

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