2019年7月30日火曜日

今日みたインド人の話

 今日は、近くで用事があったので帰りに東京地裁で刑事裁判の傍聴に行ってみました。
 いくつか覗いてみましたが、不法滞在等で懲役1年、執行猶予3年となったインド人青年の事件がとても興味深かったので書いておこうと思います。
 被告人質問でその青年が話していた内容しか情報が無いので、本当の話かどうかは分かりませんが。


  • 2018年3月15日、青年は日本に来たようです。
  • 日本に来た理由は、インドで付き合っていた恋人とカーストの階級が違うため、彼女の親族に命を狙われて逃げてきたと言います。
  • この時、短期滞在のビザだったようで、15日しか滞在できないはずでした。
  • どうしようかと右往左往した末、3月27日頃に難民申請に行ったそうです。
  • ここで、「30日までにまた来て下さい」という指示を「30日以内にまた来て下さい」と勘違いしたらしく、その次4月17日に行ってみると、既に不法滞在となっていました。(なぜここで捕まらなかったのかは通訳を聞き取れませんでしたが)
  • その後、半年ほど知人のところでお世話になり、12月からは埼玉で解体工の仕事をして月15万程度稼いでいたとのことです。
  • そして、ある時池袋を歩いていたら、パスポート不保持で現行犯逮捕され今に至るというワケでした。


 命を狙われるようなカーストの事情を、日本の裁判で話し合っているのがなんとも不思議で、「それはインドでは良くあることですか?」という質問に「はい、よくあります」とか受け答えしているところがなかなかのインパクトでした。一方で、冷徹そうな若い女性検察官は、インド国内で逃げれば良かっただけの話でありこれは始めから不法就労を目的とした悪質犯罪であるから厳罰をもって臨むほかありません、とか言っているのです。
 この青年、インドに送り返されたら殺されるのかなあとか思いつつ、そのあたりは「誰にも知らせず別の県に帰る予定です」と説明していましたが、どうなんでしょう。

 それで、一通り質問のやりとりが終わったら、すでにプリントアウトされていた判決文を裁判官が読み上げて、その後、青年は入管手続に連れて行かれました。
 え?今話し合いしてたのに、はじめから判決文プリントアウトされてたの?と思いましたが、これは即決裁判というものでシナリオが出来上がった劇場だったようです。開始から判決言い渡しまで、通訳の手間があるのに40分程度でした。

 そうとは知らず、青年の運命を思いドキドキしてしまいました。
 いや、青年の運命はこの先インドで決まるので、ドキドキしても全然おかしくないんですが。

 名前も知らないけど、あのインド人の青年はどうなるんでしょうか。
 インドで追われてたとか言う供述は執行猶予をもらうためのウソでした〜、とかだったらそれはそれで良いんですけどね。

 なんというか、日本の裁判所でカーストがどうとか、そういうことの真偽は分かるはずが無いのです。
 ウソかホントか分からないから、弁護人も検察もそれぞれの立場で全力を尽くす。
 裁判ってそういうものなのかな〜、とか思う今日のドラマでした。

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